« 農民も土も水も悲惨な中国農業 (朝日新書) 高橋 五郎 | トップページ | ウイグル、チベット、南モンゴルは国連の信託統治に »

農民も土も水も悲惨な中国農業 (朝日新書) 高橋 五郎 要約1

1.
中国の農民が都市住民と差別されているのは有名だ。戸籍が違うので農民は都市に移住できない。農村に戸籍を残したまま都市に移住して農業以外の仕 事をすると「農民工」と呼ばれてあらゆる場面で厳しい差別にあう。それは農民戸籍制度をなくすと、7億の農民が都会に押し寄せて大混乱になると懸念するか らだ。したがって、中国の農民には希望がない。誰も農業を継ごうとは思わない。

農地は国有で私有地は全くない。農民は国から使用権を与えられているだけだ。したがって、国は僅かな補償金で農民から農地を取り上げて、転用することが出来る。そのために多くの暴動が起こっているのはご承知の通り。

中国には「農業竜頭企業」と言うものがある。その経営規模は広大で数万ヘクタールと言う企業もある。竜頭企業は零細農家から農地使用権を買い取 り、農地を失った農民を小作人として雇う。彼らは企業の決めた農産物を作り、当然できた作物は自分では売れない。彼らは決まった賃金を受け取るだけだ。

竜頭企業の多くに日本企業が資本参加し、技術提供をし、加工食品の日本への販路を提供している。日中合弁会社も多い。これらの竜頭企業の経営内容が公開される事はない。

毛沢東は地主から土地を取り上げて農民に与えた。その土地を人民公社が吸収し、農民は成果を分配されることになった。しかし成果は上がらず、その 上異常気象が続いて3000万人とも5000万人とも言われる餓死者が出る。その責任を取って退陣した毛沢東は「文化大革命」を起こす。この間の死者は 1000万人以上と言われている。

毛沢東が死ぬと余剰の農産物を農家が自由に処分できることになった。しかし、価格は政府により低く抑えられたので、増産にはなったが農家の収入は増えなかった。

鄧小平の唱えた「先冨論」では先に裕福になったものが、農民を助ける筈だったが、そのようなことは実際には起こらなかった。

農民に対しては社会保障もないので、何かあると借金をする他はない。その担保としては農地使用権しかもって居ない農民が多い。

政府が移住を強制することもある。その場合は代替地に移住するのだが、新しい農地は取り上げられた農地よりも遥かに価値が低い、荒地であることが多い。

会社のことを本当に考えているのは一握りのトップだけで、普通の社員は自分のことしか考えていない。そして長くても2・3年で止めてしまう。愛社精神が希薄なので、会社の社会的信用を高めようとはしない。悪いものは是正せずに放置しておく。

メラミン入り牛乳で有名になった三鹿集団は農家がメラミンを混入していることを知ったいたらしい。2007年頃から新聞報道もされていたが、中央 紙は取り上げなかった。この会社にはニュージーランドの資本が43%入っており、ニュージーランドの取締役が製品回収を提案したが中国側取締役が反対し、 否決されている。この会社以外の中国三大乳業メーカーの製品からは全てメラミンが検出された。

中国の農民は私有物でない農地には愛着がもてないので大切にしない。その結果日本の農地とは比べ物にならない程土地が荒れている。同様に農産物にも愛着を持っていない。その農民が家畜を飼い、乳を搾っているのだ。

2.
中国では未だに人糞が一般的に肥料として使われている。しかも発酵させる技術がないので生のまま使っている。それでも作物は育つが、土壌に細菌や害虫が繁殖するので、大量の農薬を撒く必要が出る。中国産農作物が農薬まみれなのはこのためである。

農業技術を農民に指導する体制がない。しかも小学校卒が大部分で字が読めないので、農薬の使用説明が読めない。さらに老眼鏡を持っている農民は少ない。

中国の農村で見る新しい家は、出稼ぎや仕送りで建てたもので、農業からのお金で建てた人は殆ど居ない。

日本の農産物市場には評価制度が存在するが、中国には存在しない。先ず、等級・格付け制度がない。良いものも悪いものも一つの箱に入れて重さで販 売する。「競り」もない。価格は地方政府が決める。それは需給実態を反映していない。実際の売買価格は売り手と買い手の相対で個々に決まるがその結果は公 表されない。同じものに様々な値段が付いてしまう。しかも、常に買い手が有利な立場に立つ。

無農薬茶を売り物している茶畑を訪れたら、丁度農薬をまいていて消毒液の匂いがした。「無農薬茶」は看板だけで実際にはどの農家も大量の農薬を使っている。

中国では倉庫や冷蔵庫が不足しているので、農民は作物を全部市場に持って行き安くても売ってしまう。

3.
中国の国土は農業にはあまり向いていない。しかも、日本の農村人口一人当たり耕地面積1.9ヘクタールに対して中国は14アールで三分の一程度になる。作付け可能面積は、アメリカはは国土の2割、中国は1割程度。

中国の農学者は土を弄らない。中国農村の野菜畑は固く乾燥して無機質である。中国の農業は基本である筈の土つくりを怠ってきた。中国政府は農業政 策を改善しているが農地所有は公有制のままである。そこで農民は手間のかかる土つくりを省いて安易な化学肥料に依存した。これでは良質の農産物はできな い。そこで次に頼ったのが無発酵の人糞肥料。その結果、細菌や害虫が大発生したので、大量の農薬散布。土は益々死んで行く。

土が死んでいるだけではない、水も死んでいる。中国北方の農村にはため池が多い。そこには全ての生活排水が何の処理もされずに流れ込む。悪臭を放 ち、泡が浮き、アオコが繁茂して緑色をしている。そこにポンプを設置してその汚水を畑にまいている。下水でも植物は育つ。しかしそれを食べることには問題 があろう。日本企業出資の竜頭企業でも同じ。日本からの視察がきても、接待付けになるだけで、ここまでは見ない。

灌漑を井戸に頼っている地方も多い。しかし地下水位が下がるにつれて塩害が出始めている。
村の周辺の川は100メートル先から悪臭を放ち近づくと真っ黒な水だ。これが地下に浸透して井戸で汲み上げられ畑にまかれる。

灌漑施設は毛沢東時代に農民の無償・強制労働で作られた。その後管理不在で老朽化する一方だ。日本の水路は大半がコンクリート製になったが、中国 では土溝のまま。これでは水が田畑に行くまでに土に染み込んでしまい効率が悪い。これも土地が農民の所有物でなく借り物の所為だ。

中国では安全な家庭用焼却炉がない。ゴミは何もかも一緒に穴に埋められるだけ。それが土壌・川水・地下水を汚染している。

つづく

|

« 農民も土も水も悲惨な中国農業 (朝日新書) 高橋 五郎 | トップページ | ウイグル、チベット、南モンゴルは国連の信託統治に »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/517191/45581193

この記事へのトラックバック一覧です: 農民も土も水も悲惨な中国農業 (朝日新書) 高橋 五郎 要約1:

» 日常化する放火と民衆の復讐 [連山改]
判決の発表日 【パチンコ店放火】「数日前から人を殺したいと思... [続きを読む]

受信: 2009年7月10日 (金) 11時01分

« 農民も土も水も悲惨な中国農業 (朝日新書) 高橋 五郎 | トップページ | ウイグル、チベット、南モンゴルは国連の信託統治に »