« これからの世界のあるべき姿? | トップページ | お金が消える? »

隷属国家日本の岐路

北野 幸伯 ダイヤモンド社

著者はメルマガ「ロシア政治経済ジャーナル」(http://www.mag2.com/m/0000012950.html)を書いているのでご存知の方も多いと思う。

著者年来の主張を一冊の本にまとめられたので読んでみた。教えられることが多かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
0.アメリカが25年以上も貿易赤字を続けながら、破綻しなかったのは、ドルが基軸通貨であったので、ドルを印刷すれば破綻せずに済んだからだ。

しかし、1999年にユーロが導入されて2008年にはドルの流通量を越えた。2006年にはロシアがルーブル立ての原油取引を始めた。このようにドルは既に基軸通貨としての地位を失い始め、今後アメリカは没落せざるを得ない。

日本は従来アメリカ依存国家であった。次には中国への依存国家なりかねない。

それを望まない著者は「日本の自立する道」を探そうとしてこの本を書いた。

1.2005年末で日本政府と地方自治体を合わせた債務残高は約774兆円、GDPの170%、G7中最悪。しかし国民の貯蓄残高が1400兆円あるので、2020年頃まではもつ。以後はもたない。円は暴落しハイパーインフレになる。

工場を海外に移すと、その企業は儲かるが、国は失業者の増加で税収が落ち、失業保険の支払いで支出が増える。移転先の国はそれとは逆のことが起こる。つまり工場の海外移転は国を滅ぼすので、国の政策としてはいけない。

減税をすれば消費と長期的に税収が増える。したがって、日本の財政を救うには減税すべきである。同時に安い税金と増えた消費を狙って外国企業が日本に進出してくるようになり、工場の海外移転とは逆の効果が日本に生まれる。

2.ブルーカラー移民を受け入れると、日本人失業者が増え、賃金水準は低下する。移民が従事する職業は日本人の嫌う職業である場合が多いので、差 別意識と民族意識が高まる。自動化が進まず、生産性が上がらない。移民の中にマフィア化するものが現れて治安が悪化する。したがって、日本に受け入れる移 民は「日本人が尊敬できる外国人」だけにするのが良い。

3.海外からの投資を受け入れることは日本の利益になる。従って日本政府は外国資本を日本に誘致する政策を取るべきなのに実際には外国資本を締め 出す政策を取っている(ブルドックソース等)。これは国益に反する。また多すぎる規制は撤廃しなければ、外国資本の誘致はできない。

中国は1974年にベトナムから西沙諸島、1995年にフィリッピンから南沙諸島を奪い、「元々中国領だ」と言っている。尖閣諸島のケースと全く 同じ。このような中国の領土的な野望を押さえるために、日本はアメリカの有力者を味方につけると同時に、中国とロシアを分断する必要がある。それには東シ ベリアー極東ナホトカ間石油パイプライン建設に協力すれば良い。

4.食料輸出国の人口は増加している。食料価格が高騰し、従来の食料輸出国は輸出を規制するようになる。それに備えて、米食を増やすべきである。 そのため、全中小学校で「完全米食給食」を行い、子供の頃から米食になじませるのが良い。更に公立高校も米食給食を行い、公共機関の食堂は米食のみとすれ ば、日本の食料自給率は画期的に上がる。

エネルギーについては、日本はメタンハイドレードが近海に豊富にあるので、これを開発・実用化すればエネルギーの自給が可能になる。

5.ユダヤと日本は教育に熱心だった。大部分の幼い子ども達に基礎的な勉強をやらせた。現在日本ではそれが崩れている。暗記を復活させる必要がある。また、子どもに倹約と貯蓄の大切さを教えるべきである。その後、仕事を楽しみにすれば、探究心と想像力が湧いてくる。

6.アメリカは世界一の債務国で日本の資金がそれを支えている。そんなアメリカの真似をする必要はない。世界中で日本を嫌っているのは中国・韓 国・北朝鮮だけ。日本はアメリカと一緒になって「自由」「民主主義」を世界に広める必要はない。日本が世界から愛されているのは「他国の内政に干渉せず、 なおかつ支援している」からである。

日本は今後貧乏人相手の商品は中国等に任せて、薄利多売から脱却し、世界の金持ちを相手に、高くて良質な商品を少量作るようにするべきである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
卓見だと思う。異論もあるかもしれないが、先ず著者の言うことを素直に聞いてみる事をお勧めする。

 

Banner_01_3

|

« これからの世界のあるべき姿? | トップページ | お金が消える? »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

私も読みました。

2008年の時点で、中国の尖閣諸島への侵略を予想しているところはすごいですよね。

今回の韓国への北朝鮮の攻撃についても、北野さんは中国との事前の連携を指摘しています。

投稿: 本のソムリエ | 2010年12月 4日 (土) 12時37分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/517191/42767729

この記事へのトラックバック一覧です: 隷属国家日本の岐路:

« これからの世界のあるべき姿? | トップページ | お金が消える? »