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格差はつくられた―保守派がアメリカを支配し続けるための呆れた戦略

ポール・クルーグマン、早川書房

人種問題はどうやら「移民大国」アメリカの原罪らしい。アメリカはこの問題に永遠に付き合わなければいけない。それに比べれば日本はまだ幸せな国だと言える。

端的に言えば、本書はオバマ候補への応援演説である。しかし当初の目的はその通りでも、本書はそれだけに留まらず、多くの示唆を与えてくれるだろう。

著者はアメリカ人の収入格差が、1980年代以降急速に広がった、と言う。それはレーガン大統領の時代であり、共和党の時代と一致する。

一方これは、ルーズベルトのニューディール以前の時代に戻っただけで、ニューディール以後の30年間が、格差の圧縮された、アメリカとしては特異な時代だったのだとも言える。

しかしその時代は中産階級が繁栄した理想的な時代だっと著者は言う。そして、アメリカをそのような時代に戻すべきだと言うのだ。

そのために先ず行うべきことは、国民皆医療保険の創設であるとする。そして、今までアメリカで国民皆医療保険が実現しなかった真の理由は、人種差別だと指摘する。

また、アメリカの経営者は、分け前を取り過ぎているとする。確かに彼らの貪欲には限界がないようなので、これには何らかの歯止めが必要だろう。

一方、日本は色々問題はあるが一応国民皆保険が存在する。しかし、日本の経営者もアメリカの経営者に習って高給は取るし、雇用者の給料はケチるしで、格差は開いてきている。この問題に対する解答は本書には当然ない。これは我々が考える他ないのだ。

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コメント

アメリカ在住です。リーガン大統領の頃から国民は確かに貧しくなりました。人間の際限のない欲というやつが諸悪の根源であろうかと思っています。日本には是非アメリカとは違った道をたどって欲しいものです。

投稿: 花子 | 2008年9月26日 (金) 22時03分

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受信: 2008年9月26日 (金) 08時21分

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